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ドラムブレーキ [カブ改125(C50SN)]

最近youtubeとかを見ていると、フロントブレーキが利かないのはカブだから仕方がないとか、
マジで言ってるの?大丈夫かな、、、
しかもカブはリアが重要で独特の扱い方があるとか、したり顔(見たことないが)でウンチクしている。
をいをい、カブである前にバイクだぞ。こんなのがまかり通る怖さかな、、、

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カブはその生い立ちの時代背景が、高度成長期のイケイケど真ん中だった。
現在であれば非難を浴びそうな仕様でも、何の問題もないどころか称賛されていたのだ。
その名残が結構最近まで有ったカブのウインカースイッチで、今では誰もが使い難いと感じる右(スロットル)側に付いていた。

【ホンダ開発部会議】新型は片手で操れるバイクにするぞ。
スロットル操作をする右手は外せないから、クラッチは自動遠心式にしてクラッチレバーを無くしちゃおう。これでとりあえず左手は自由だね。
そうだそうだ、じゃあウインカースイッチも右に付けないとね。
さらにスロットル操作はひねりだから、スイッチも上下移動の方が都合良いよね。

で、新型カブ発売。

新聞配達では次に投函する新聞を前カゴから抜いて、投げ込み易いようにコンパクトに折々しながら(ここまで左手)、カブはほぼ右手だけで走り通す。
自分は昔新聞配達をしていたから、カブの有難みは良く分かる。
さらに蕎麦屋・寿司屋・ラーメン屋、おかもち片手でカブで出前だ。
出前品運搬機(マルシン出前機)がようやく考え始められた頃だから、片手運転が前提のカブは喝采を浴びたのだ。

蒸籠を堆く積み重ね肩に載せ、颯爽とカブで出前する姿は、テレビ等で達人ともてはやされたりした。
ブレーキは右足でリアを、ジワジワと利かせながら。だってスロットルを操作しながら、同じく右手でフロントブレーキまではね。だったら空いている右足でリア、になる。
フロントを使ったとしても、ボトムリンクのカブはカックンと来るから、やっぱりリアの補助的な存在になり易い。
今思うと、とってもアブナイ出前風景だ。

そんな歴史が有るからカブはリアブレーキが重要とか、フロントはボトムリンクサスだから根本的に利きが悪いとか、変な伝説が出来たのかも。
問題はいまだにそれらを信じ切り、ウンチクをぶっこく輩だ。
しかし普通に考えよう。
昔も今も、バイクは7:3くらいの割合で、フロントが重要だ。もちろんカブも。

あ、また前置きが長くなってしまった。
とにかく利きがイマイチなので、フロントドラムブレーキの整備をしよう。
セルフ・サーボ効果を復活させて、ドラム式らしい「真綿で首を絞める」ブレーキに。

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フロントアクスルのナットを緩めたら、カブの前輪を浮かせよう。
アドレスV125G・ボンネビルSEに使っている鋼製束だが、もちろんカブにも使える。
車体が軽いからドレンプラグ近くで、楽々とジャッキアップできた。

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既に清掃はしてあるのでダストは無いが、ある程度使ったドラムブレーキを開けると、ブレーキライニングの粉塵が沢山出てくる。
このブレーキの構造上仕方が無いのだが、ディスクブレーキみたいに逃げ場が無いから、粉塵の一部がブレーキ制動を鈍らせるのだ。
粉塵の微粉が摩擦力を減らしたり、またその一部がライニングやドラムに再固着して、テカテカの膜状になり更に利きを悪くしている。
ドラムは金属らしさが、ライニングは摩擦材らしさが、表面を覆う粉塵膜により失われる。

ディスクブレーキが出たばかりのころは、「粉塵が逃げるから利きが変わらない、くらいかなメリットは」、等と言っていた人が居たくらい、利きに関してはあまり評判が良くなかった。
確かに力いっぱい握ればそれなりに利いてくるのだが、ドラム式みたいなセルフ・サーボ効果、、、ある程度レバーを握って行けば、サーボがジワジワ利いてきて、それこそ「真綿で首を絞める」は期待できなかったのだ。

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まずは金属、ドラム側から始めよう。
このテカテカした表面は、#800くらいのサンドペーパーでサッと一皮剥いた。

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こっちはあまり気を遣わずに済むな。金属らしさが出ればOK。

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ブレーキの鳴き防止のため、パッドの角を削った事が有れば分かるが、パッドやライニングの摩擦材って意外と脆い。
サンダーなんかでやっちゃうと、あっという間に削れ過ぎになる程。

なのでライニングは#1500の耐水ペーパーで優しく。

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右が施工前、左が施工後。
余計なのが一皮剥けて、多数の原材料が配合された摩擦材が出現する。
これで本来の制動が発揮できるブレーキに戻るのだ。

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びしょ濡れになったシューが乾くまで、スピードメーターケーブルのグリスアップでもしておこう。
スピードメーターケーブルに粘度の低いオイルを使うと、メーターの指針がフラフラしがちだ。
自分はごく普通のグリスを使う事が多い。

しかし、ブレーキシューにしろメーターケーブルにしろ、ウン十年前と同じことやってるぁ・・・

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今の季節は中々乾かない。
でも別作業中の燻製ケースが良い感じに熱いので、その上で乾燥させた。

そしてフロントを組み上げ、当たりが出るまで強めの制動を繰り返す。
だんだんブレーキレバーにしっとり感が現れると、ドラムブレーキらしい補助力も加勢してくるのだ。
セルフサーボ効果(自己倍力作用と、漢字で書いた方が分かり易いかも)って面白いよね。
自転車の華奢な作りのブレーキでも、キー!ってロックするし。
でも何故バックだと利かないの?と子供のころ不思議だった。

安定性や放熱性・ダストの問題は有るけど、ちゃんとメンテして才能を生かせば、決して利かないブレーキじゃないぞ、ドラムは。

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