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快適って何だろう [650-RS(W3)]

W3のエンジンは強烈な振動を発する。
相殺って何?カンケー無いね・の360°クランク、マスバランスなんて無視したかのような漢である。それによって醸し出される独特の歯切れ良い、叩きつけるようなエキゾーストノート。それらがW3に惚れる所でもあるけど、ある面では安全運転に貢献しているんだ。
だって痺れるし五月蠅いから、あまり回したくないもんね^^;

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シリンダーヘッドカバー.jpg


この激震は他にも副作用をもたらすけど、良くも悪くもホント劇薬だな。
だからW3の走行後は勿論、走行中でも何か変だな・いつもと違う音だな、と感じたら、まずボルト類の緩みを疑ってみる。目視では分かり難いので、出来るだけ工具で確実に確かめたいが、慣れてきたら雰囲気で大体ここが怪しいなって分かる。まあ、こまったちゃんの常連さんも居るけど、時々思いがけない伏兵も登場するし、何はともあれ気の抜けないバイクだ。
ちなみに、タンクの[KAWSAKI]エンブレム、ここの留めビスだって緩むんだよ。君はヤンチャな小学生か!もしかしてメガネ女子の学級委員長に「カワサキ君、また名札落としたでしょ」、なんて言われてないか?
もとい
ある時、上画の品番"5"にメガネレンチをあててみたら、「スコッ」って回った。をいをい、ここはダメだってば!止めてよ・・・って言うか「スコッ」て何よ。

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あちこちのはみ出した怪しいシールから、ジワジワとしたオイル滲みは有った。まあ、W3はある程度仕方ないし、古いエンジンはこんなもんだ。しかし、ここの漏れが最近段々と顕著になってきたのは、上記したボルトの緩みによるもの?それとも経年進行によるガスケットの潰れ?
何とも言えないけど・・・振動が無関係とは思えないな。まあ、いずれにしろ発見した以上、このままって言う訳にはいかない。ボルトの増し締めをしよう。
しかし増し締めをすると言う事は、シリンダーヘッドとそのカバー(品番"11")がより密着→カバー内に組み込まれたロッカーアームとプッシュロッドもより密着→ロッカーアーム先端のアジャストスクリューとバルブ頂点の関係が変化(近付く)・・・くどい!(怒
「タペットクリアランスの再調整が必要」、これだけで良いじゃん^^;

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見苦しいシール?ガスケット?更に"17"のキャップからアメーバみたく漏れるオイル。気に入らないなー、とにかく以前のメンテ跡を見る度、そのいい加減で雑なやり方に辟易してきた。
もしかすると良い機会かもしれない。ちゃんとタペットクリアランスも確認したいし、大体こんな所から漏れる事自体が美しくない。
また、関連する全てのボルトを増し締めするには、品番"6"のような隠れボルトも「コンニチハ」させないとね。
とにかくキャップを外そう。

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別になんーも驚かないよ、黄色く見えるのはボンドのG17じゃない?
これってかなり昔から有るけど、多用途と言うかとにかく重宝するよね^^
って、所詮ゴム系の接着剤だし、古くなると殆ど柔軟性が無くなるし。もうバリバリだもん、こんな所に使っちゃダメじゃん・・・

おまけに恐ろしいくらい思いっきりボルトが締まっていた、ここM6だよ。
相変わらず「漏れたら締めよう」の基本姿勢は、分かり易いしブレないし、素敵^^
んな事あるか!たまにはブレてよぉ。

しかし接着剤を塗ったくったのは何で?可笑しいと思わなかった?とりあえずその場しのぎ?
もう、怒りを通り越して漂う脱力感^^;
固着したガスケットや弾力もなくなりこびり付いた接着剤、何度かここを開けた痕跡があるけど、ろくに清掃もせずこれらを重ねたり塗ったりしたね。後が大変なんだよね。
ボルトの増し締めなんて直ぐ終わるけど、コイツ等の剥がしに嫌って程時間がかかる。ケミカルはあまり役に立たないから、結局スクレーパーで地道にやるだけだ。
今回も潔くまずスタッドボルトを抜いた。その方が全然やり易いし、最後は指の感覚や目視で仕上がりを確かめるのに都合が良い。

話はちょっと寄り道。
ワタシャ一応昔からの機械屋だけど、精密加工の分野は主力ではなかったし、工作機械の類は持っていない。相応の設備だって無い、普通の住宅住まいだ。だからエンジンの核心部までは手を出したくないけど、感覚で分かる所は大切にしたく思っている。
”きさげ”と言う技術を聞いた事無いだろうか。
「機械では難しい超精密工作機械や測定器のすべり面や定盤などを、人の技を持って高い精度を作り上げる技術になります」
若いころ老練な職人さんからよく聞かされたのが、「あのさー、今じゃ測定器って色々有るけど、一番最初はそんなの無かっただろ。どうやってそれを作ったんだか分かるか?」だ。
答えはいつも「それは人間の感覚だ。だから機械は人間を超えられないんだ」だった。
まあ現在ではともかく、十分納得できる話だったのを、今でも鮮明に覚えている。

やっと綺麗になったよ、もう!
指でなぞり納得できるまでになった。しかし意地でもこんな所に、液体ガスケットなんか使わないぞ。ごく普通のガスケットだけで、普通に組みたいからね。
手持ちのリプロガスケットセットは便利で良いが、ネット等であまり評判が宜しくない。ここのも例にもれずだが、取付け穴径は8mmもある。相手は6mmのボルトなんだからさぁ・・・まあ良いけど・・・
で、やっぱりシートから作った、穴は勿論6mmのポンチで。ガスケットの形状自体は、ソラシド?製のを型にしたがまずかったな。作り終わってから、現物を型取りすべき原則をすっかり忘れてた。

肝心のタペットクリアランスはIN・EX共に0.05~0.07mmが規定値だけど、ネット上では色々だ。今回はIN0.06mm、EX0.08mmでセットしておいた。
兎に角バラバラで??のクリアランスが、自分なりにちゃんと揃えられたのは精神衛生上も良い。

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やっぱり案の定になってしまった。でかいじゃん、ガスケット。
今回の組み付けに際し、ガスケットには薄くオイルを塗っておいたから、今度は素直に剥がれるだろう。だからまた暇が出来たら美しく直したい。
しかし肝心の漏れに関しては完ぺきに止まったし、タペットを調整したおかげかエンジンの鼓動リズムも軽やかだ。始動性も更に良くなり、暖機途中の500rpm辺りでも粘る。

止まりそうで止まらないアイドリング。
この回転域だと排気音に遮られない、心地良い吸気音の咆哮が良く聞こえる。エアークリーナーボックスを持たないW3は、「シュッシュ、シュッシュ」とダイレクトにそれを響かせ。



W3のアクセルを煽ると、横に置いたのカメラまで震える。何が無くなり今は何が有るのか、社会が求めた故バイクも様変わりした。

癖が強く快適からはほど遠いが、惹きつけて止まない「何か」からすれば、些細なことに思えてしまう。
何時までもアイドリング音を聞いていたい、そこかしこに有機質を感じさせるバイクだ。

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